2026年10月8日木曜日

なぜ中国・インド・韓国の学生はハーバード・MITなどに大量に行くのに、日本人は少ないのか

 


はい。かなり大きな理由があります。しかも、「日本人の能力が低いから」ではありません。むしろ、日本と中国・インド・韓国では「海外トップ大学へ行くことの意味」が違うと考えると分かりやすいです。

まず数字を見ると、この差はかなり大きいです。MITの2025–26年度では、留学生は中国980人、インド286人、韓国248人に対して、日本は84人でした。しかも日本人は学部4人・大学院70人で、学部からMITへ行く日本人が特に少ないです。ISO MIT

1. 中国・インドは「人口の母数」が巨大

これは非常に重要です。

中国・インドは人口がそれぞれ10億人を超えます。その中から、

「世界のトップ大学に行きたい」

という層が一定割合いるだけでも、人数が非常に大きくなります。

OECDも、中国とインドは世界の国際的な大学移動の主要な送り出し国で、両国だけでOECD圏の国際的に移動する学生の約3割を占めるとしています。OECD

米国全体でも2024/25年度、インドから36万3,019人、中国から26万5,919人、韓国からも多数の学生が来ています。インドは現在、米国への最大の留学生送り出し国です。IIE Open Doors


2. 日本には「国内で完結するルート」がある

これは日本人が海外へ行かない理由としてかなり大きいと思います。

日本なら、

高校
↓
東大・京大・東工大など
↓
日本企業
↓
日本で就職

というルートが成立しています。

一方、中国・インドなどでは、

国内トップ層
↓
米国のトップ大学・大学院
↓
米国企業・研究機関・世界企業

というルートの魅力が非常に大きい。

つまり、

「海外に行かなければ人生の選択肢が狭くなる」

と考える学生が日本より多いわけです。


3. 英語の壁が大きい

これもかなり大きいです。

日本の高校・大学入試では、英語をかなり勉強しますが、

「英語の試験問題を解ける」

ことと、

「英語でMITの講義を受け、議論し、レポートを書き、研究する」

ことは全く違います。

MITのような大学では、数学・物理・コンピューター科学などの能力だけでなく、英語で自分の考えを説明する能力も必要になります。

日本では国内大学に進学する限り、そこまでの英語能力を必須とされないため、海外進学を選択するための追加コストが大きくなります。


4. 中国・インド・韓国には「海外進学を狙う教育市場」が大きい

例えばインドでは、IITなどの国内トップ大学を目指す受験競争そのものが非常に激しい。

そのため、

国内トップ大学を狙う
↓
ダメなら海外
↓
あるいは最初から米国大学を狙う

という選択肢が比較的自然に存在します。

さらに米国では大学院の国際学生が非常に多く、2024/25年度も米国の国際学生では大学院生が最大の学術レベルでした。IIE Open Doors

MITも非常に典型的で、2025–26年度の国際学生3,437人のうち、学部生529人に対して大学院生は2,908人です。MITファクト

つまり、

「高校からMIT」

だけではなく、

「日本の大学 → MIT大学院」

というルートも重要です。


5. そして日本では「海外に行くリスク」を大きく感じやすい

例えば日本の学生からすると、

日本の大学に行く
↓
日本企業に就職
↓
日本で生活

なら、かなり先のことまで予測できます。

ところが、

高校卒業
↓
アメリカへ
↓
数千万円規模の教育・生活費の可能性
↓
英語
↓
ビザ
↓
米国で就職

となると、かなり不確実です。

だから、**「わざわざ海外に行かなくてもいい」**という判断が成立します。


6. ただし「日本人が海外に行っていない」は少し違う

ここは注意が必要です。

日本人の海外留学そのものは回復しています。

文科省によると、2024年度に日本の大学などが把握した日本人学生の海外留学者数は91,054人で、前年比2.1%増でした。文部科学省ホームページ

問題は、

海外に行く日本人がゼロ

ではなく、

MIT・ハーバード・Stanfordなどの最上位層へ、学部段階から大量に行く人が少ない

ということです。

これはかなり違います。


そして、ここが先ほどの「日本の低収入」の話とつながります

私はここが一番重要だと思います。

日本では、

国内大学
→ 国内企業
→ 国内就職

というルートがまだ非常に強い。

その一方で、

世界のトップ大学
→ 世界のトップ企業
→ 国際的な研究・金融・IT

というルートに日本人が大量に参加しているわけではありません。

その結果、

「日本国内では優秀な人材」

であっても、

「世界市場で競争する人材」

になるための教育・経験を積む機会が少なくなる可能性があります。

そしてMITの数字を見ると、その差はかなり象徴的です。中国980人、インド286人、韓国248人、日本84人。しかも日本人の学部生はわずか4人です。ISO MIT

なので、単純に「日本人の学力が落ちた」というより、

日本国内で完結する教育・就職システムが強い
+
英語・海外進学のコストが高い
+
海外トップ大学に行くインセンティブが相対的に小さい

という複数の要因が重なっている、と見るのが妥当です。

そしてこれは、以前話していた**「日本の賃金が低くなっている問題」**ともかなり深く関係します。世界の大学・企業へ人材が流動する国と、国内市場中心の国では、優秀な人材がどこで経験を積み、どの市場で給料を得るかが変わってくるからです。

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