猫の判定は、囲碁よりもさらに「総当たりでは絶対に無理」な例です。
総当たりで猫を当てようとすると、どうなるか
「猫の画像を全部集めて、1枚1枚見比べれば猫かどうか分かるだろう?」と考えたとします。
でも、猫の画像って何通りあると思います?
- 白い猫、黒い猫、三毛猫、子猫、寝ている猫、逆立ちしている猫
- 明るい部屋、暗い部屋、遠くから、鼻のドアップ、後ろ姿
- スマホで撮った写真、監視カメラのボヤけた写真、絵に描いた猫
組み合わせは無限です。宇宙の原子の数よりはるかに多い。
だから「全ての猫の画像を保存しておいて、同じ画像が来たら猫と判定する」という総当たりは、物理的に不可能です。ハードディスクが宇宙何個あっても足りない。
AIがやっているのは「猫らしさ」を覚えること
人間が猫を見分ける時、どうしていますか?
「1枚1枚暗記してる」わけじゃないですよね。
「三角の耳がある」「ヒゲがある」「目が縦長」「しっぽが長い」みたいな、猫の特徴で判断しています。
AIも全く同じです。ただし、人間が「耳はここ」と教えるのではなく、AIが自分で特徴を見つけます。
1. 最初はただの乱視
最初に100万枚の画像(猫と猫じゃないもの)を見せると、AIは何も分からないので「全部犬です」と適当に答える。正解率50%。
2. 「間違えたら罰ゲーム」を繰り返す
「それは猫だよ」「これは違うよ」と正解を教えるたびに、AIの中の数値(重み)が少しずつ変わる。
数十万回繰り返すと、AIの中に勝手にこういう検出器が育ってきます。
- 第1層:「斜めの線があるかどうか」を検出する細胞
- 第2層:「斜めの線が組み合わさって三角になっているか」を検出
- 第3層:「三角が2つ並んでいる=耳かもしれない」を検出
- 第4層:「耳+ヒゲ+目がこの位置関係にある=猫だ!」と判断
これを人間がプログラミングしたわけではないんです。AIが勝手に「猫を当てるのに一番都合が良い特徴」を発明したんです。
だからAIは、見たこともない種類の猫、例えば今まで学習データに無かったスフィンクス(毛がない猫)でも、「耳の形と目の配置が猫だな」と当てられる。総当たりなら絶対に無理なことです。
囲碁と猫の共通点
- 囲碁: 250通りの手を全部読むのをやめて、「プロっぽい5手」に絞る勘を覚えた
- 猫判定: 無限の画像を全部覚えるのをやめて、「猫っぽさ」という概念を覚えた
どちらも、力技(総当たり)を捨てて、抽象的な概念を学習したから人間を超えられたんです。
もしAIが本当に総当たりだったら、新しい猫の写真が来るたびに「知らない画像です」と言うはずですが、今のAIは知らない猫でも分かる。そこが面白いところですね。
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