2026年8月18日火曜日

 


アメリカの摩天楼、イギリスでも地下鉄の影響でビルが傾いてる??
今日

はい、どちらも本当の話ですが、原因はちょっと違います。

アメリカ:地下鉄というより「基礎の問題」

よく話題になるのは2つです。

1. ニューヨークの One Seaport / 161 Maiden Lane
イーストリバー沿いの58階建ての超高層タワーが、北側に約7.5cm(3インチ)傾いているのが工事中に発覚して訴訟騒ぎになりました。原因は地下鉄ではなく地盤と基礎工事の不具合とされています。

2. サンフランシスコの Millennium Tower
58階建ての高級マンションが2009年の完成から沈下し続けていて、約43cm(17インチ)沈下、北西に約35cm(14インチ)傾いたと報じられています。
こちらも地下鉄ではなく、岩盤まで杭を打たずに摩擦杭にしたことが原因とされています。こちらは「今も傾き続けているタワー」として有名です。

アメリカは地下鉄の振動で傾くというより、軟弱地盤に超高層を建てた時の基礎設計ミスが原因のパターンが多いです。

イギリス:こっちは本当に地下鉄が関係しています

ロンドンのあの ビッグ・ベン(エリザベス・タワー) です。

ロンドン地下鉄がジュビリー線延伸(Jubilee line extension)のために技術レポートを委託した時に発覚しました。

  • タワーは北西方向に傾いている
  • 長期平均の傾きは年0.65mmだったのが、2003年以降は年約0.9mmに加速している
  • 1999年に開通してタワーと国会議事堂の真下を通るジュビリー線が原因の一つではないか、と地元では直感的に非難された

実際、ロンドン地下鉄側も「動きを止めるためにあらゆる手段を使った」とコメントしており、トンネル掘削時に「コンペンセーション・グラウティング」という地盤を持ち上げる薬液注入をしながら掘った記録も残っています。

専門家によると、1859年の建設以来の地下工事の積み重ねで起きている可能性が高い、というのが定説です。

まとめると:

  • NY / SFの傾き = 地下鉄のせいではない、基礎・地盤のせい
  • ロンドンのビッグ・ベンの傾き = 地下鉄延伸が加速させたのは事実

ロンドンは他にもCrossrail(現エリザベス線)のような新しいトンネル工事で、衛星画像を使って地上の建物への影響を監視する研究が進んでいるくらい、地下鉄と建物の傾きは切っても切れない問題になっています。

ディーゼルとハイブリッド どっちがどっち???

 

はい。10万kmでそろえると、かなり違いが見えてきます。

今回は、

  • MAZDA3 SKYACTIV-D 1.8
  • トヨタ プリウス G 2WD(2.0L)
  • EV:消費電力15 kWh/100kmという仮定
  • 走行距離:100,000 km

で比較します。

MAZDA3ディーゼルの公式値はCO₂ 120 g/km、NOx 0.15 g/km、PM 0.005 g/km。
現行プリウスG 2WDはCO₂ 81 g/km、NOx 0.013 g/km、PM 0.005 g/kmです。

10万km走った場合


MAZDA3 ディーゼルプリウス GEV※
CO₂12,000 kg8,100 kg約6,330 kg
NOx15 kg1.3 kg0 kg※
PM0.5 kg0.5 kg0 kg※

※EVのCO₂は「走行時」ではなく、充電に使った電力の発電分。15 kWh/100km、電力のCO₂排出係数0.422 kg-CO₂/kWhとして計算しています。2024年度の電気事業低炭素社会協議会の確報値は0.422 kg-CO₂/kWhです。
※EVのNOx・PMは車両の走行時排気ガスとしてはゼロ。発電所側の排出は含めていません。

CO₂だけ見ると

10万km走行時のCO₂排出量

MAZDA3ディーゼル、プリウス、EVの比較。EVは15 kWh/100km・0.422 kg-CO₂/kWhを仮定。

0kg3500kg7000kg1万kg1.4万kgMAZDA3 ディーゼルプリウス GEV(仮定)

走行時燃料由来のメーカー値と、EVの発電由来CO₂を比較した参考値。製造・廃棄は含まない。


ところが、NOxを見ると衝撃的です

10万kmでは、

MAZDA3ディーゼル:15 kg

に対して、

プリウス:1.3 kg

です。

つまり、

約11.5倍

も違います。

これはかなり大きい差です。

MAZDA3のNOx認定値0.15 g/kmは、10万kmなら、

0.15 × 100,000 = 15,000 g = 15 kg

となります。

一方、プリウスは、

0.013 × 100,000 = 1,300 g = 1.3 kg

です。


PMは意外にも同じ

両方とも、

0.005 g/km

なので、

0.005 × 100,000 = 500 g = 0.5 kg

です。

つまり、

MAZDA3ディーゼル:500 g
プリウス:500 g

となります。

現代のディーゼルはDPFなどによって、PMについてはかなり抑え込んでいます。


ここが非常に重要です

この数字を見ると、単純に

「ディーゼルは環境に悪い」

とも言い切れません。

なぜなら、

CO₂

ディーゼル
12.0トン

プリウス
8.1トン

EV(今回の仮定)
6.33トン

なので、CO₂ではディーゼルが明確に不利です。

ところが、

NOx

ディーゼル
15 kg

プリウス
1.3 kg

EV
0 kg(走行時)

となり、今度はディーゼルが圧倒的に不利。

つまり、

ディーゼルはCO₂削減のために燃費を稼ぐ代わりに、NOxという別の問題を抱えている

と考えると分かりやすいです。


そして「人が死なないの?」という最初の話につながります

ここで注意したいのは、15 kgのNOxを10万kmで排出したから、それだけで「何人死亡する」と計算できるわけではないことです。

大気中で拡散しますし、濃度・曝露時間・人口密度・気象条件などによって健康影響は変わります。

ただ、

「NOxが健康に無関係だから問題ない」

とは全く言えません。

むしろ今回の比較を見ると、

「CO₂が少ないからディーゼルは環境に優しい」

という言い方にはかなり無理があります。


ただし、この比較には大きな注意点があります

今回のCO₂比較は完全なLCA(ライフサイクルアセスメント)ではありません。

MAZDA3とプリウスの120/81 g/kmは、燃料を燃やしたときの車両走行時のCO₂です。一方EVの6.33トンは、充電電力の発電に伴うCO₂を推計したものです。

したがって、

車両製造
+バッテリー製造
+燃料製造・輸送
+発電
+走行
+廃車・リサイクル

まで全部含めると結果は変わります。

また、EVの15 kWh/100kmも車種によって大きく変わります。


それでも、この比較から分かること

かなり乱暴にまとめると、

MAZDA3ディーゼル
→ CO₂は比較的多い
→ NOxがかなり多い
→ PMは非常に少なく抑えられている

プリウス
→ CO₂がかなり少ない
→ NOxも非常に少ない
→ PMも少ない

EV
→ 走行時のNOx・PMはゼロ
→ CO₂は電源構成次第
→ 日本の電力でも今回の仮定ならディーゼル・プリウスより低い

という構図です。

そして面白いのは、「ディーゼルの燃費が良いから環境に良い」という理屈が、NOxまで含めるとかなり怪しくなることです。

なお、これらはメーカーの認定・規制値を10万kmに単純換算した数字で、実際の道路走行で10万km走った車の排出量を測定したものではありません。実走行では気温、渋滞、エンジン温度、DPF再生などで変動します。

**さらに面白いのは、「マツダがディーゼルをやめてハイブリッドにした場合、日本全体でNOxとCO₂がどれだけ減るのか」**です。これを日本の年間販売台数ベースで計算すると、かなり具体的に「ディーゼルを作り続ける意味」が見えてきます。

ディーゼルの排ガスはダイオキシンよりも危険といわれていますが

はい、「ディーゼル排ガスはダイオキシンより危険」という言い方は、かなり注意が必要です。
結論からいうと、科学的には単純に「どちらが危険」と順位をつけることはできません。

ただし、前の話を踏まえると、かなり重要なポイントがあります。

「毒性の強さ」と「社会全体への健康影響」は別

ダイオキシン、特にTCDDは非常に強い毒性を持ち、WHOは発がん性、免疫・生殖・発達への影響などを認めています。TCDDはIARCで**Group 1(ヒトに対して発がん性あり)**です。

一方、ディーゼル排ガスもIARCがGroup 1に分類しています。ディーゼル排ガスへの曝露について、ヒトで肺がんとの因果関係を示す十分な証拠があるためです。

つまり、

ダイオキシン → Group 1
ディーゼル排ガス → Group 1

です。

しかし、これは

「ディーゼル排ガスとダイオキシンは同じ危険度」

という意味ではありません。

IARCのGroup 1は、**「その物質・曝露がヒトに発がん性があるという証拠の強さ」**を分類するもので、危険度の大きさを順位付けするものではありません。


では、なぜ「ディーゼルのほうが危険」という話が出てくるのか?

おそらくここでは、**毒性そのものではなく「実際に人間がどれだけ曝露するか」**が問題になっています。

ダイオキシンは非常に強力ですが、一般人の曝露の大部分は現在では食品経由です。WHOによれば、人のダイオキシン曝露の90%以上は食品、特に肉・乳製品・魚介類などから来ています。

一方、ディーゼル排ガスは、

道路
↓
自動車
↓
排気ガス
↓
人が呼吸する空気

という形で、特に交通量の多い場所では多数の人が継続的に曝露する可能性があります。

つまり、

1分子あたりの毒性がどちらが強いか

と

社会全体でどれだけの人がどれだけ曝露するか

は別問題なんです。


しかもディーゼル排ガスは「一つの毒物」ではありません

これも非常に重要です。

「ディーゼル排ガス」というのは一種類の化学物質ではなく、複数の物質の混合物です。

例えば、

  • NOx
  • 微粒子(PM)
  • 炭素粒子
  • 多環芳香族炭化水素
  • その他の有機化合物

などが含まれます。

IARCがGroup 1にしたのも、ディーゼル排気という混合物への曝露です。

したがって、

「ディーゼル排ガス=ダイオキシン」

ではありません。


そして、ここがマツダの話につながります

現在のSKYACTIV-Dのような現代のディーゼルと、昔のディーゼルを同じものとして扱うのも適切ではありません。

現在のディーゼル車では、

DPF → PMを捕集

EGR → NOx生成を抑制

などの技術が使われています。

先ほど計算したMAZDA3の例でも、メーカー資料上のPMは0.005 g/kmでした。

10万km走っても単純計算で

0.5 kg

です。

一方NOxは0.15 g/km → 10万kmで15 kg。

したがって、現在のディーゼルで特に注目すべきなのは、「昔の黒煙」だけではなくNOxなどを含む総合的な大気汚染です。


なので、私は「ダイオキシンより危険」という表現ならこう言い換えるのが正確だと思います

「ディーゼル排ガスは、非常に有害な物質を含むため、ダイオキシンと同じく発がん性の観点から重大な健康リスクがある。しかし、両者の毒性を単純比較して『ディーゼルのほうが危険』とは科学的には言えない。」

そして実は、**「ディーゼル車が社会に与える健康被害」**という観点なら、かなり興味深い研究があります。

IARCは、ディーゼル排ガスへの職業的な長期曝露について、肺がん死亡リスクとの曝露量―反応関係まで研究しています。

なので次は、**「日本でディーゼル車が1台増えると、NOxによって実際に何人くらいの健康被害・死亡リスクが増えるのか」**というところまで掘ると、「マツダがディーゼルを作ることの是非」をかなり客観的に考えられます。

日本でディーゼル車が1台増えると、NOxによって実際に何人くらいの健康被害・死亡リスクが増えるのか

はい。ただし、ここは**「ディーゼル車1台=何人死亡」という直接換算はできません**。NOxの排出量から死亡者数を一直線に計算することはできず、車の走行場所、走行距離、人口密度、気象、他の車両からの排出などを含む大気拡散モデルが必要です。

ただ、**日本の研究から「どの程度のリスクなのか」**を推定することはできます。

まず、日本人を対象にした研究

岡山市の約7.4万人を追跡した日本の研究では、長期平均NO₂濃度が10 μg/m³高い場合、全死亡リスクが約6%高いという結果でした。肺がん死亡については約36%高いという関連が報告されています。ただし、PM2.5などを調整すると一部の関連は弱くなっており、NO₂単独の因果効果をそのまま意味するものではありません。

さらに世界の多数の研究をまとめたメタ解析では、長期NO₂曝露が10 ppb増えるごとに全死亡リスクが約6%増加という結果です。


では「1台」で考えると?

例えば先ほどのMAZDA3ディーゼルについて、メーカーの認定値を単純化して、

NOx 0.15 g/km

とすると、

10万kmで

15 kgのNOx

です。

しかし、この15 kgを

「15 kgのNOx → ○人死亡」

とは計算できません。

例えば同じ15 kgでも、

北海道の人口の少ない地域を走る

のと

東京・大阪の幹線道路を毎日走る

のでは、人間が吸い込む量が全く違うからです。


しかし「1台では無視できるほど小さい」とも言えない

ここが重要です。

1台では極めて小さなリスクでも、

100万台

になれば話が変わります。

仮に全車が10万km走ると単純化すれば、

MAZDA3ディーゼル1台
→ 15 kg NOx

100万台
→ 15,000トン

となります。

もちろん実際には車種も走行距離も排出量も違いますし、現在の日本のディーゼル車すべてがこの値ではありません。

しかし、

「1台くらいなら問題ない」

を100万回繰り返すと、社会全体では無視できない排出量になります。


実際、日本ではディーゼル規制で健康状態が改善したという研究があります

これは非常に興味深いです。

東京都では2003年にディーゼル車規制が導入されました。その前後を調べた研究では、東京23区で大気汚染物質が低下するとともに、2000~2003年と2009~2012年を比較して、年齢調整死亡率が

  • 全死亡:−6.0%
  • 心血管疾患:−11%
  • 虚血性心疾患:−10%
  • 脳血管疾患:−6.2%
  • 肺疾患:−22%
  • 肺がん:−4.9%

となりました。研究者は、ディーゼル排出規制が大気環境と健康状態の改善に関連したと結論づけています。

ただし、これは**「規制によって減った死亡者数=NOxだけが原因」**という意味ではありません。PM2.5など複数の汚染物質が同時に変化しているためです。


だから「マツダ1台」を評価するなら

私はこう考えるのが一番科学的だと思います。

1台の現代ディーゼル車

→ 個人の死亡リスク増加は極めて小さい
→ だから「この車1台で人が死ぬ」と言うのは不適切

しかし、

ディーゼル車が数十万~数百万台

→ NOx排出が積み重なる
→ 大気中のNO₂濃度に影響
→ 多数の人が長期間曝露
→ 集団として心血管・呼吸器疾患などのリスクが増える

という構造です。

WHOも大気汚染を重大な健康リスクと位置づけ、NO₂について健康影響が確認されています。


そして、ここが最初の質問への答えになります

「マツダのようなメーカーがディーゼル車を作るのは正しいのか?」

については、健康リスクだけを考えれば、NOx排出がより少ないパワートレインに置き換える方向には合理性があります。

特に、

都市部の乗用車

では、

EV・ハイブリッド > ディーゼル

と考える余地が大きいです。

一方、

長距離大型トラック・大型バス・建設機械

などでは、重量・航続距離・充電時間などの問題があり、ディーゼルをすぐ全部EVに置き換えるのは簡単ではありません。

つまり、「ディーゼルそのものが悪」ではなく、「どこで、何台、どのくらい走らせるか」が健康被害を左右するということです。

なお、NO₂の短期曝露についても、10 ppb増加で全死亡リスクが約1.58%増加するという大規模メタ解析があります。

マツ〇地獄絵図

 







2026年8月17日月曜日

 

ドラフト候補の高校球児は、なぜ7億円詐欺「かけ子」リーダーになったのか 中大卒→プルデンシャル“モンスター支社”配属、“殺人犯”との接点も…人生をたどる

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詐欺グループの“本丸”として逮捕

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急速にシェアを奪われる日本の自動車産業(まとめ)

 産経ニュース

「デフレ洪水」の中国車、シェア奪われる日本 猛烈な開発スピードと安さ、生産台数並ぶ

 中国自動車メーカーの台頭が業界勢力図を急速に塗り替えている。「自動車強国」を目指す政府の支援の下、電気自動車(EV)で世界をリードし、自動運転などの知能化でも先頭を争う。圧倒的なコスト競争力を武器に世界各地へ輸出攻勢を仕掛け、「デフレ洪水」によって日本勢はシェアを奪われつつある。

 

 

2026/6/17 -文章は、海外市場では中国の自動車メーカーが猛攻を仕掛けており、日本車が長年優位を保ってきた東南アジア市場などでシェアを直接奪われていると紹介。

 

5min2026.4.28

英誌が報じる「日本車メーカーの“存亡危機”」─生存を賭けた業界再編の行方

日本の自動車産業は「生存の瀬戸際」にあると英誌「エコノミスト」が報じる。ホンダや日産が苦境に陥るなか、かつて世界を席巻した日本車メーカーが失速した要因を分析し、生き残るには何が必要なのかを考察する。

危機感をあらわにしたホンダ社長


ホンダは先ごろ、2026年3月期の連結最終損益が最大で6900億円の赤字になるとの見通しを発表した。1957年の上場以来、初の最終赤字だ。

沈痛な面持ちで会見に臨んだ三部敏宏社長は、その責任を自ら負うとして、自身と副社長の報酬の3割を返上すると述べた。

苦境に立たされているのはホンダだけではない。その翌週の業界イベントで、三部は「日本の自動車産業そのものが生き残りの瀬戸際にある」と厳しい警告を発した。

 

2023/5/17 -日本車メーカーはなぜこんなに「お気楽」なのか EV軽視の姿勢が世界でシェアを奪われる結果に

 

  急速な「移行」が進む中で、先行する自動車メーカーとの差はますます拡大し、長期的には国内市場以外での市場シェアを失うことになるだろう。

 

 「金のなる木」だったタイの自動車市場で、なぜ日本車はシェアを下げているのか? 

 

 

 

急速にシェアを奪われる日本の自動車産業 — 現状・要因・課題


🔴 現状:世界的な地位低下と主要市場でのシェア喪失

  • 世界販売シェアの低下:長らく世界首位だった日本の新車販売台数は 2025 年に中国に抜かれ、日系メーカーの世界合計シェアは 2010 年代半ばの約 35% から 2025 年には約 23% へ低下。中国ブランドのシェアは急上昇し約 35% に達する。
  • 中国市場での急落:トヨタ・ホンダ・日産の合計シェアは2020 年 23.1% → 2026 年初 9.8% に半減。BYD を筆頭に中国勢が EV 中心に一気に躍進。
  • 東南アジアでの侵食:従来日系が圧倒的だったタイ・インドネシアなどで、中国 EV メーカーが低価格を武器にシェアを急拡大。
  • 欧州市場での逆転:2026 年 5 月、中国ブランドの販売シェア(12.0%)が史上初めて日系ブランド(11.3%)を上回る。
  • 業績悪化:2026 年 3 月期の主要 8 社合計営業利益は前年比約半減、ホンダは赤字転落、日産は 2 年連続の巨額赤字となるなど収益構造が揺らいでいる。

🔍 シェア急落の根本的要因

1. 電動化戦略の遅れ

  • 長らくハイブリッド(HEV)中心の戦略を推進し、世界の BEV(電気自動車)への転換スピードに対応できなかった。
  • 日系の BEV 世界シェアは8% 未満にとどまるのに対し、中国勢はコスト・ラインナップ・投入スピードで圧倒。開発期間:中国 18〜24 か月、日系 48〜60 か月という差。
  • 車載ソフトウェア・自動運転・コネクテッド技術での遅れが、「車 = 走る道具」から「ソフトウェア搭載端末」への価値観の変化に対応できていない。

2. コストと価格競争力の格差

  • 中国メーカーはバッテリーから基幹部品まで垂直統合型サプライチェーンを構築し、同等クラスで約 20〜30% 安い価格設定が可能。
  • 原材料調達力・生産効率の差が長期的な価格差となり、新興国から先進国まで全域で競争が厳しくなっている。

3. 各国の政策と地政学の変化

  • 欧州は 2035 年内燃車新車販売禁止、中国は EV への補助金・充電インフラを集中整備、米国は関税引き上げなど、各国の政策が EV 優位に傾く中、日系の対応が後手に回った。
  • 充電インフラ整備の格差も大きく、中国約 100 万基、欧州約 50 万基に対し、日本国内は約 2 万段にとどまる。

4. 組織・文化の適応の遅れ

  • 「品質第一・慎重な検証」という強みが、変化の速い EV・ソフトウェア分野では意思決定の遅さ・スピード不足という弱点に転じている。

⚠️ 今後の課題と見通し

直面する 3 つの核心的課題

  1. 技術戦略の転換:HEV 中心から BEV を軸とした戦略への移行を加速。次世代電池(全固体電池など)の早期実用化が鍵。
  2. 開発・生産体制の改革:半分の期間で新車を送り出すスピード、コスト競争力、ソフトウェア開発力の強化が不可欠。
  3. 地域別戦略の再構築:中国市場での差別化、東南アジア・インドを新たな基盤とし、先進国では高付加価値路線を強化するなど、地域ごとの最適化が必要。

見通し

  • 今後 2〜3 年が分水嶺:BEV ラインナップ拡充、ソフトウェア体制構築、意思決定の迅速化を同時に進められなければ、シェア低下はさらに加速し、高級車・一部の技術に特化せざるを得なくなる。
  • 一方、HEV・水素・合成燃料など多様な技術路線を持つ強みを生かし、地域やニーズに応じた柔軟な戦略で踏みとどまる可能性も残されている。

✅ まとめ

シェア急落の本質は、「内燃機関・ハイブリッド中心の体制」と「EV・ソフトウェア主導の新しい産業時代」との構造的なずれにある。競争相手が変わり、技術と価値基準が一気に変化する中、長年の強みを維持しながら、スピードとソフトウェア力をいかに速く獲得できるかが、今後の日本の自動車産業の存亡を決める。