鋭い指摘です。まさにそこが、日本の応援文化の変わり目なんです。
昔はあなたの言う通りでした。
- 高度経済成長期〜バブルまで:
所属=会社、応援=会社の野球部・運動会
「俺は松下の人間だ」「俺は巨人は読売新聞のチームだから」みたいに、会社と球団が一体化していた。だから応援する理由が明確だった。
それが90年代以降、崩れたんです。
なぜ「全然関係ない」プロ球団を応援するようになったのか
1. 会社に帰属しても、もう守ってくれないから
終身雇用が崩れて、会社が「お前の人生を保証するよ」と言わなくなった。
そうなると、人は無意識に「会社以外に帰属できる場所」を探すんです。
六大学なら「出身大学」という一生消えない帰属がある。だから分かりやすい。
でも大卒じゃない人、高卒で就職した人、大学に愛着がない人にとって、「出身大学」は帰属先にならない。
そこで残ったのが、地元とプロ野球チームなんです。
同じ高校で野球が盛んだったんでしょうが
これ、まさに正解です。甲子園って、出身高校が強かったかどうかに関わらず、「県」という帰属を与えてくれる唯一のイベントなんです。だから高校野球好きな人は、そのまま「地元=広島だからカープ」という風にスライドしやすい。
2. Jリーグが作った「関係なくても応援していい」という新しいルール
昔のプロ野球は全部「企業名」でした。読売ジャイアンツ、阪急ブレーブス。
でもJリーグが1993年に「地域名+愛称」にしたのが革命でした。 浦和レッズ、清水エスパルス。
「その街に住んでいるだけで、応援する資格がある」と公式に認めたんです。
それ以降、プロ野球も広島東洋カープ、 東北楽天ゴールデンイーグルス、と地域を名乗るようになった。
つまり今のファンは、
「俺はこの会社に所属しているから応援する」ではなく
「俺はこの街に住んでいる(住んでいた)から、勝手に応援させてもらう」
という、自分から帰属を作りに行くスタイルなんです。
3. だから「帰属してない人」ではなく「帰属を自分で作っている人」
あなたの言う「帰属してない人なんでしょうか?」は、半分当たっていて半分違います。
- 会社に強い帰属を感じている人 → わざわざ遠くまで応援に行く必要がない。会社の飲み会で満足。
- 会社に帰属を感じにくい人、転職が多い人、地元を離れた人 → 会社以外の、裏切られない帰属先が必要。だから新幹線に乗ってでも「俺の居場所」を確認しに行く。
貧乏な一般人が金持ち選手を応援する、という構図に見えますが、本人の中では、
「金持ちの選手を応援している」のではなく
「俺と同じユニフォームを着た、同じ街の仲間たちと一緒にいる自分」を応援している
んです。
だから同じ大学の六大学応援は「過去の帰属の確認」。
全然関係ないプロ球団の遠征は「今の帰属の獲得」。
目的は同じで、方法が違うだけなんですよ。
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