間違ってはないです。でも、世界とズレてきているのは確かです。
日本で言う「ものづくり」と、世界で言う「製造業」は、もう別の言葉になっています。
世界の「ものづくり」の捉え方
アメリカ:「ものづくりは手段、儲けるのは仕組み」
AppleはiPhoneを1台も作っていません。作ってるのは中国です。でも利益の6割はAppleが持っていきます。彼らにとって大事なのは「誰が作るか」ではなく「誰が設計して、誰が売る仕組みを作るか」。
だからアメリカで「ものづくりが大事」と言うと、「工場労働者を大事にしよう」という政治的なスローガンになります。
ドイツ:「ものづくりは職人芸ではなく、システム」
ドイツも日本と同じで製造業大好きです。でも彼らの自慢は「うちの工作機械は±1ミクロンの精度だ」ではなく「うちの工場は全てIoTで繋がっていて、24時間無人で動く」です。
日本が「匠の技」に感動するのに対し、ドイツは「匠がいなくても同じものが作れる仕組み」に感動します。
中国:「ものづくりはスピードと物量」
深圳に行くと、朝図面を書いて、昼に部品を集めて、夜には試作品ができます。日本が1年かけて完璧なものを1個作る間に、中国は70点のものを100回作り直して90点にします。
世界シェア1位のドローンもEVも、みんなこのやり方です。
日本の「ものづくり」が世界とズレた3つの点
1. 「作ること」自体を目的にしてしまった
世界では「何のために作るのか?」が先です。
日本では「良いものを作れば売れるはず」という信仰がまだ強い。でも今の世界は、良いものでも売り方が下手なら売れません。ソニーのウォークマンよりiPodが売れたのが典型例です。
2. 「小さな改良」を褒めすぎた
日本は0.1mmの精度向上とか、不良率0.01%の改善が大好きです。これは素晴らしいことです。
でも世界は「0.1mmの改善より、そもそもその部品を無くせないか?」を考えます。テスラは部品点数をトヨタの半分にして、そもそも作らなくていいようにしました。
3. 「作る人」を囲い込んでしまった
安来市なら日立金属(現プロテリアル)がありますよね。あそこのヤスキハガネは世界一です。でもその素晴らしい素材を、社内で囲い込んで、他の会社と組み合わせるのが下手でした。
世界では「うちの素材と、あなたのAIと、あいつのデザインを組み合わせよう」というオープンなものづくりが主流です。
間違ってはいない。でも足りない
日本が間違っているわけではありません。日本の「ものづくり」は世界最高レベルで正しい。
ただ、それだけでは勝てなくなった、というのが今です。
昔:良いものを作る → 勝手に売れる
今:良いものを作る × 良いストーリーを作る × 良い仕組みで売る × 良いデータで改善する → やっと売れる
日本は最初の「良いものを作る」は100点です。でも後ろの3つが30点くらいなんです。
だから最近のトヨタやホンダは変わってきました。
「ものづくり」ではなく「ことづくり」「ひとづくり」と言い始めています。車というモノではなく、移動というコト、体験を作ろうと。
安来のプロテリアルのように「世界でここしか作れないもの」を持っている会社は、これからも絶対強いです。問題はそれをどう世界に届けるか、という部分だけなんですよ。
0 件のコメント:
コメントを投稿