これは昔からずっと議論されているテーマで、答えが1つではありません。大きく分けて3つの考え方があります。
1. 人間は昔からそうやって生きてきた、という事実
牛、豚、馬を食べるのは、日本でも世界でも新しいことではありません。
- 牛:6000年前から家畜化。力仕事と肉と乳のため
- 豚:9000年前から家畜化。餌を選ばず、増えやすいため
- 馬:4000年前から家畜化。最初は移動手段、食べるのは後から
人間は犬歯もあり、胃も肉を消化できる雑食動物なので、肉を食べることで脳が大きくなったという説もあります。日本でも、仏教で禁止される前は普通に食べていましたし、禁止された後も薬として「薬食い」と呼んで食べていました。
2. 「殺しまくって」という部分への3つの視点
同じ「牛を殺して食べる」でも、立場によって見方が違います。
A. 動物福祉の視点
「食べること自体は仕方ないが、苦しませ方は最小限にすべき」という考え方です。今の日本の法律もここに立っています。
- と畜場法で、意識があるまま解体することは禁止
- なるべく一瞬で意識を失わせる方法が義務付けられている
- 馬、牛、豚は、できるだけストレスを与えないように運搬するルールもある
これを守らないと畜場は営業停止になります。
B. 環境・食料効率の視点
前の話と繋がりますが、牛1頭育てるのに大量の土地と水と餌がいるので、「そんなに大量に殺して食べ続けるのは地球が持たない」という考え方です。だから量を減らそう、という議論になります。
C. 動物の権利の視点
「動物にも人間と同じように生きる権利があるから、殺すこと自体が間違いだ」という考え方です。ヴィーガンや一部の動物保護団体がこの立場です。
逆に、「植物も生きている」「ライオンがシマウマを食べるのを止めないのに、人間だけ止めるのは不自然だ」という反論もあります。
3. 日本と世界で違う「殺していい動物」の線引き
実はどこまで殺していいかは、国で全然違います。
- 日本:牛、豚、鶏、馬はOK。犬、猫は法律で食べるために殺すのは禁止
- アメリカ:牛、豚、鶏はOK。馬は州によっては食べるのも殺すのも禁止。犬、猫も禁止
- インド:牛は多くの州で殺すこと自体が禁止。豚や鶏はOK
- イスラム圏・ユダヤ教:豚は宗教的にNG
つまり「どの動物を殺して食べるか」は、生物学的な線引きではなく、その文化が決めたルールなんです。
あなたが「どうなんですか?」と引っかかったのは、たぶん
スーパーでパック詰めされた肉を見ると、生きていたことを忘れるけど、実際は1頭の命を奪っている
というギャップだと思います。
今の日本では、食べる量を減らす、苦しませない方法で育てて殺す、その命を残さず食べる、という3つを守ろう、というのが法律と多くの人の共通点になっています。
全部やめるべきか、今のままでいいのかは、人それぞれの価値観で決める部分なので、あなたが「どれくらいなら自分は納得できるか」を考えるのが一番大事なところですね。
はい、その通りです。それをバタリーケージといいます。
今のニワトリの飼われ方
日本で卵を産むニワトリ(採卵鶏)の飼い方は、だいたいこうなっています。
1. バタリーケージ:日本の9割
1羽あたりがB5サイズ(iPadくらい)の広さの金網のカゴに5〜6羽入れられます。
- 歩けない、羽を広げられない、砂浴びもできない
- でも糞が下に落ちるので病気になりにくい、卵を自動で集められるので安く大量に作れる
- 1パック200円台で卵が買えるのは、この方式のおかげです
2. エンリッチドケージ:少し広く、止まり木付き
EUではこっちが最低基準です。バタリーより少し広くて、止まり木や巣箱が付いています。日本でも少しずつ増えています。
3. 平飼い・放し飼い:歩ける
鶏舎の中を自由に歩けるのが平飼い、外にも出られるのが放し飼いです。
- 歩ける、走れる、砂浴びできる
- でも鶏同士がつつき合って怪我をしやすい、病気が広がりやすい、卵の値段が2〜3倍になる
スーパーで「平飼い卵」と書いてあって値段が600円くらいするのは、この方式です。
なぜ狭いところで飼うのか
農家が意地悪でやっているわけではなく、理由があります。
- 1950年代に日本は卵が貴重品で、安く大量に作るために国がバタリーケージを推奨した
- 狭い方が鶏が動かないので餌代が少なくて済む、卵をたくさん産む
- 糞が卵に付かないのでサルモネラ菌などの食中毒を防ぎやすい
逆に、広くすると卵の値段が上がって、今度は「卵が買えない」という別の問題が出てきます。
変わってきていること
世界的にこの飼い方は見直されています。
- EU:2012年にバタリーケージを全面禁止
- アメリカ:カリフォルニア州などで禁止、ケージフリー宣言をするスーパーが増加
- 日本:法律での禁止はまだないですが、2023年に農水省が「アニマルウェルフェアに配慮した飼養管理の基本的な考え方」を出して、ケージフリーを推奨し始めました。キユーピーやスタバなどが「2030年までにケージフリー卵に切り替える」と宣言しています。
今スーパーで安い卵と高い平飼い卵が並んでいるのは、まさにこの転換期だからです。
「狭くて可哀想だから全部平飼いにすべき」という意見と、「そうすると卵が2倍の値段になって、毎日食べられなくなる」という意見が両方あって、日本はまだその間で揺れている状態ですね。
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