2026年9月22日火曜日

「脱炭素」投資は成長戦略に非ず

 


これは、**「脱炭素への大規模な投資を、日本の成長戦略として進めることには問題がある」**という趣旨の評論です。

見出し

大きく、

「脱炭素」投資は成長戦略に非ず
正論

と書かれています。

筆者は キャノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志氏です。

この記事の主張を簡単にすると

政府は「GX(グリーントランスフォーメーション)」として、脱炭素関連に巨額の投資を促しています。

記事冒頭では、政府の「日本成長戦略」について、2040年度までに官民合わせて150兆円規模の投資を掲げていることなどを取り上げています。

しかし筆者は、

「脱炭素への投資を増やせば、日本経済が成長する」

という考え方に疑問を呈しています。

筆者が問題視していること

主に次のような論理です。

① 政府の補助金で投資を増やしても、それ自体が成長とは限らない

政府が企業に補助金を出して、太陽光、風力、水素、蓄電池などへの投資を促しても、そのための費用は最終的には国民や企業の負担になる、という考えです。

② 脱炭素設備はコストが高くなる可能性がある

記事では、特に再生可能エネルギーなどについて、既存の発電方法よりコストが高ければ、企業の競争力を低下させる可能性があると論じています。

③ 「波及効果」にも疑問を呈している

政府が、

「この投資によって関連産業も成長し、経済全体に波及する」

と説明しても、筆者は、補助金によってある産業を成長させれば、その分だけ別の投資や消費が減る可能性がある、としています。

つまり、

「1000億円を脱炭素に使ったから、経済に1000億円以上の新しい価値が生まれる」とは限らない

という主張です。

さらにかなり強く批判している部分

記事の中盤では、

「コストが高い技術に補助金を出して普及させる」

ことへの批判が中心になります。

また、海外との競争についても触れていて、

  • 中国は太陽光・EV・蓄電池などで大きな生産能力を持っている
  • 日本が補助金を使って国内産業を育成しても、海外製品との価格競争になる
  • 結果として日本国内の企業や消費者が負担する可能性がある

という議論をしています。

一方で、この記事は「脱炭素そのものが不要」と言っているわけではありません

ここは区別したほうがいいです。

この記事の中心的な論点は、

「CO₂を減らすこと」そのものへの賛否というより、
「脱炭素投資=経済成長」という政府の説明への批判

です。

筆者は、

脱炭素を進めることと、日本の経済成長を実現することは別の問題ではないか

という立場から論じています。


かなり簡単に図式化すると、政府側の考え方をこの記事が批判している形は、

政府側の説明

脱炭素投資
↓
新しい産業が育つ
↓
企業の投資・雇用が増える
↓
日本経済が成長する

に対して、

この記事の筆者

脱炭素投資
↓
高コストな設備への投資
↓
補助金・規制などによる負担
↓
他の投資や消費を圧迫する可能性
↓
必ずしも経済成長にはならない

という見方を示しています。

なお、これは筆者の主張を紹介したもので、この記事の主張が経済学的に全面的に正しいという意味ではありません。特に「脱炭素投資の費用」と「将来の技術革新・エネルギー安全保障・輸出産業などの便益」をどう評価するかによって結論は変わります。

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