元ネタは英紙 Financial Times 東京支局長 Leo Lewis のコラム
「Japan was never normal – and it's not going to be now」
それをクーリエ・ジャポンが抄訳したのがあなたの見た記事です。
何が起きたか
仙台の笹かまぼこ老舗が、過去12ヶ月で3軒立て続けに廃業:
- 武田の笹かまぼこ 1935年創業
- 馬上かまぼこ店 1912年創業
- カネコ橋沼商店 1927年創業
戦時体制、敗戦、石油ショック、デフレ、東日本大震災、世代交代を全部乗り越えてきた店です。
地元では「これがニューノーマルか」と言われ始めた。それに対してFTが「いや、ニューアブノーマルだ」と反論したのがタイトルです。
FTが言う「新たな異常」3つ
1. 地政学
すり身の原料スケトウダラはロシア・北方海域依存。戦争と制裁で価格高騰。プラスチック包装も物流も全部コスト限界。
2. 気候変動
海水温上昇で漁獲不安定。練り物離れも。仙台の観光客は牛タンに行く。
3. 人口動態
食生活の変化+後継者不在+人手不足。職人文化が成立しない。
なぜ「ニューノーマルはない」のか
FTの主張の核心はここ:
日本は戦後ずっと「異常の上に異常を積み重ねてきた国」だから、安定した新常態なんて存在しない。
- 高度成長自体が異常なバブル
- その後の20年デフレも異常
- 超低金利・ゼロ金利でゾンビ企業を延命させたのも異常
自民党は数十年間、中小企業を雇用と票田として保護してきた。金融庁も銀行も「潰さない」ことが政策だった。だから100年企業が異常に多い。これが「日本は正常だった」という錯覚を作っていた。
今、その土台が3つ同時に崩れた:
- 金利の正常化:東京商工リサーチ 2026年上半期、負債1000万円以上の倒産5373件で13年ぶり高水準。うち従業員10人未満が90.6%。1-8月で創業100年以上の倒産112件で過去最多ペース。ゼロ金利時代の借換が利上げで払えなくなった。
- インフレ倒産:原材料を価格転嫁できない。帝国データバンクも「老舗も値上げしないと死ぬ」と分析
- 人手不足倒産:2026年上半期240件で過去最多。賃金高騰型が前年比75%増
赤沢亮正経産相が10月6日に「中小企業の位置づけをめぐる数十年来の考え方を覆す」と発言したのをFTは重視しています。つまり「守るから淘汰する」へ政策転換するサイン。
結論
老舗かまぼこ3軒の廃業は「かわいそうな不運」ではなく、
日本全体が「企業の相次ぐ廃業を予期すべき」段階に入った症例
だからニューノーマルではなく、これからも異常が続くのが常態=ニューアブノーマル。自民党の中小企業政策を根本から見直さない限り、同じことが全国の商店街で起きる、という警告です。
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