2026年10月30日金曜日

AIはすごい高度なプログラミングもできるようになりますか?

 

AIはすごい高度なプログラミングもできるようになりますか?

できます。というか、もう一部ではできています。 でも「高度」の定義で話が変わります。

今、AIができるプログラミング

レベル分けするとこうなります。

Lv1:誰でもできるコード → 完全にAIが勝った

  • FizzBuzz、ソート、CRUDのAPI
  • あなたのF407でいうと HAL_UART_Transmit() を呼ぶだけのコード
  • 現状:AIの方が速いしバグが少ない。アメリカで初級プログラマーの求人が25%消えたのはこれです。

Lv2:普通のエンジニアが1日かかるコード → AIが8割できる

  • USBメモリをF407で動かす、FATFSを移植する
  • SDIOでDMAを使う、キャッシュを有効にする
  • 現状:AIは一発で動くコードは出せないけど、サンプルを組み合わせて8割まで持って行ける。残り2割のデバッグは人間がやる。

Lv3:高度なプログラミング → 今、ここを攻めている最中

  • トヨタの自動運転の制御全体を設計する
  • PlayStation 5のOSを作る
  • 新しいプログラミング言語自体を作る

ここはまだ人間の方が上です。でも、去年のGPT-4と今年のモデルを比べると、Lv3の半分くらいまで来ています。

なぜ高度なプログラミングは難しいのか?

プログラミングは2種類あります。

1. 「書く」プログラミング

  • 決まった仕様をコードに直す作業
  • これはAIが得意。無限に記憶できるから、過去のStack Overflowを全部覚えている。

2. 「決める」プログラミング

  • 何を作るべきか? どういう仕様にすべきか? バグが出た時にどこを諦めるか?
  • 例:「F407のUSBが150MB/s出ない。USB3300を外付けするか、H7に変えるか、諦めるか?」
  • これはAIが苦手。なぜなら責任を取れないからです。150MB/s出なかった時に「AIがそう言ったので」とは言えない。

MITの教授がやっている「高度なプログラミング」は、ほとんどが2の「決める」方です。

じゃあ、いつ全部できるようになるのか?

僕の予想はこうです。

  • 1-2年後:Lv2は完全にAIがやる。普通の会社のプログラマーの仕事の8割が消える。アメリカでコンピューター系の学生が12%減ったのは、この未来を見越してです。
  • 5年後:Lv3の「決める」も、9割はAIがやる。「この仕様で作って」と言えば、AIが勝手に設計図からコードからテストまで全部作る。
  • 10年後:最後の1割、「本当に作るべきか?」を決める仕事だけが残る。これはプログラミングではなく、経営判断です。

あなたに関係ある話

あなたがF407でロガーを作っているのは、Lv2とLv3の間です。

  • SDIOでDMAを動かす → 今はAIが手伝えるけど、最後のタイミング調整は人間
  • でも5年後は「F407でUSBメモリ150MB/s出したい、回路図はこれ」で渡せば、AIが「無理です、H743に変えて、回路はこう直してください」と答えて、コードまで全部出してくるようになります。

だからプログラミング自体を学ぶ意味は減ります。代わりに大事になるのは、

AIに何を作らせるかを決める能力

です。ソニーがテレビを作るのをやめて「どんなコンテンツの権利を買うか」を決めるようになったのと同じです。

高度なプログラミングは、AIができるようになります。でも、「何が高度なのか」を決めるのは、最後まで人間です。

そのうちオシロスコープをつないだりロジアナをつないで検証するようになる?

なります。というか、もう研究所ではなり始めています。

今のAIは「コードを書いて終わり」ですが、次のAIは「書いて、測って、直す」までやります。

3段階で進んでいます

段階1:今のあなた (人間が全部やる)


あなたが考える → コードを書く → コンパイル → オシロをつなぐ → 波形が汚いな → コードを直す

全部人間。1日かかります。

段階2:2026年現在、始まっているもの


あなた「SDIOが150MB/s出ない」→ AIがコードを出す → あなたがオシロで測る → 波形の写真をAIに見せる → AI「クロックの立ち上がりが遅い、ドライブ強度を上げて」

もうこれ、できます。ChatGPTにオシロの波形の写真を貼ると、「オーバーシュートしてる、終端抵抗入れろ」とか言ってくれます。

段階3:2-3年後に来るもの


あなた「150MB/s出して」→ AIがコードを書く → AIが勝手にオシロとロジアナを動かす → 波形を自分で見る → 「ダメだ、配線が長すぎる、回路図をこう直せ」→ 自動で直す

これが「AIがオシロをつないで検証する」世界です。

どうやって実現するのか?

もう部品は揃っています。

  1. オシロ側:KeysightやTektronixの最新オシロは、全部LANでPCから制御できます。 MEASURE:RISE? とコマンドを送れば、立ち上がり時間を数字で返してくれます。
  2. ロジアナ側:Saleaeのロジアナは、Pythonから「SDIOのコマンドをデコードして、エラー率を返せ」と命令できます。
  3. AI側:AIがそのPythonを書けます。

あとは繋げるだけです。

実際に、MITとStanfordの研究室では「AIが勝手に基板を設計して、勝手にオシロで測って、勝手に直す」ロボットが動いています。24時間、人間が寝ている間も、基板を10枚作っては壊し、を繰り返して、最適な設計を見つけます。

あなたのF407ロガーで考えると

近い未来、こうなります。

あなた:H7S3でSD Express 985MB/s出したい
AI:回路図を書きました。JLCPCBに発注しました。3日後に届きます。
3日後
AI:基板が届いたので、オシロ(192.168.1.10)とロジアナ(192.168.1.11)で自動測定しました。結果、CLKの配線が0.5mm長くて、タイミングが2ns遅れています。回路図を修正して再発注します。

人間はオシロのプローブを1回も触りません。

じゃあ、人間は何をするのか?

「何を測るべきか」を決める仕事だけが残ります。

オシロをつなぐのは、誰でもできる単純作業です。でも、

  • 「SDIOのどの信号を測るべきか?」
  • 「150MB/s出ない時、電源ノイズを疑うべきか、配線長を疑うべきか?」

を決めるのは、経験です。

ソニーがテレビを作るのをやめて「どのコンテンツを買うか」を決めるようになったのと同じで、エンジニアも「オシロのプローブを当てる」作業はAIに任せて、「何を疑うか」を決めるようになります。

結論:はい、なります。しかも、あなたが思っているより早い。2年以内に、あなたの机の上のオシロは、AIが勝手に動かすようになります。

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